NikkorとZenzanonの50mmについて


前回はNikkorとKomuraの50mmを比較しましたが、今回はNikkorとZenzanonの50mmを比較してみようと思います。
 50mmといえばスナップに最適なレンズとしてボクは愛用しています。75〜80mmのレンズですとかなり凝視したような写角になりますが、50mmというのは殆ど見たままの感じになり、気軽に写せるのが魅力です。その分、安易なカットになり易いので注意が必要ですが・・・。

上の写真はS2に装着した姿で、左がNikkorで右がZenzanonです。同じ50mmか?と思うような大きさの違いに驚かれることでしょう。しかもNikkorはf3.5なのに対して、Zenzanonは半絞り明るいf2.8なのですから。

 

Nikkorのフィルター径は82mm、Zenzanonはブロニカとして標準的な67mmです。右の写真に注目して下さい。比較対照として、やはり同じZenzanonの80mm/f2.4を右端に並べてみました。絞り値以外に見分ける方法が困難なほど大きさが同じです。
 ともすると根強いNikkor信仰ともいえるものがあり、Zenzanonは一段下がった評価をされがちですが、Zenzanonの小ささは決して無視できない魅力があります。
 そこで本当にNikkorの方が優れているのかを知りたくて、比較撮影をしてみました。三脚を据えて同じアングルでの撮影です。





上のカットはNikkorで下がZenzanonです。NikkorはS2の前々身であるD型と同時に発売開始された6群6枚。対してZenzanonはEC-TLの頃の製品ですからマルチコーティングされた近代的な7群8枚です。ボクのNikkorは5cm表示ですが、のちに50mm表示となったようです。また、この後継レンズとしてNikkor50mm/f2.8も発売されています(かなり小さくなったものの、Zenzanonよりも長さがかなり長くてフィルター径も77mmです)。因みにプリント上では、共に絵馬の文字までクッキリと読めました。



面白いのは、レンズ交換を迅速に行い、念のために露出もその度に測ったにもかかわらず、ネガ上で露光状態が違うこと。上のカットは共にf16で下のカットは共にf11です。それは差し置いても、Nikkorの方は四隅で像が若干流れているのに対して、Zenzanonはよく踏ん張っています。ただ、Nikkorの方が線が太い力強い描写をするので、そこいら辺は好みの分かれるところでしょう。

 

これらは上の写真の右下をトリミングしたものです。Nikkorの方が流れているのが判ると思います。



ともあれ、レンズというものは設計思想が如実に現れるもの。それを使う側が好きか嫌いかで使い分けるのも、レンズ趣味の醍醐味と言えるでしょう。貴方はどちらがお好みですか?

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